POWER GREEN 研究レポート

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生分解性潤滑剤の必要性

環境的背景

工業用潤滑剤の国内需要量は、年間約140万キロリットルあり、そのうち57万キロリットルが使用中の消耗、漏れ、自家処分である。漏洩した潤滑剤は、水や土壌等に混入し自然環境に多大なる影響を及ぼす可能性がある。

生分解性とは

生分解性とは、漏洩した潤滑剤が微生物により環境に影響しない形に分解される性質を有する事である。具体的には有機物の構成元素である炭素(C)、水素(H)がそれぞれ無機物の二酸化炭素(CO2)、水(H2O)にまで分解することである。

生分解性潤滑剤の歩み

1.ヨーロッパ諸国の湖沼地域で使用する船外機用2サイクルエンジン油は生分解性が必要
     ↓
2.ヨーロッパ諸国の森林で使用するチェーンソーオイルは生分解性が必要
     ↓
3.ドイツでは飲料水採取河川付近で用いる建設機械は生分解性作動油の使用が義務化
     ↓
4.将来、日本においても生分解性潤滑剤の使用を義務化される可能性はある。

生分解性潤滑剤の必要性

屋外で使う機器はもとより、クリーンルームで使う設備でも搬入時や廃棄の際、潤滑剤が漏洩し土壌や河川を汚染する可能性があり、極端な例では作業者の手や衣服の洗浄でも河川を汚染する。ISO14001に代表されるよう、環境に対する企業の取組姿勢が問われている今、生分解性潤滑剤の検討、採用は企業活動にとって不可欠の課題である。

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パワーグリーンの物性

特性 代表値 備考
比重 0.88 1.0前後が一般的。1.5以上なら遠心力や加速度の影響がでるので注意が必要。
動粘度 10.5mm2/s/s スプレー式としては比較的高い部類。
引火点 84℃ 浸透剤の引火点。ベールオイルの引火点は210℃以上。
流動点 -35℃ ベースオイルが固まらない温度。
摩擦係数 0.03〜0.04 低い部類。軽負荷から高負荷までほぼ一定。
表面張力 29.2mN/m ベースオイルの表面張力で一般的な数値。スプレーからでたときは10程度で浸透力を示し、その後、表面張力が上がり保持性を示す。
使用可能温度範囲 -50℃〜250℃ パワーグリーンの流動点は-35℃であるが、オイルを拭き取った後もPTFEが残るため-50℃でも使用できる。上限の250℃はPTFEが徐々に分解し始める程度。
ファレックス試験 100N以上 回転している約6.5ミリの鉄棒を1トンの力で締め付けても焼き付かない。
四球試験 1.0N以上 点接触で10kgの油圧負荷をかけても焼き付かない。
鋼板腐食 1-a 比較的腐食しやすい銅板を100℃24H浸けても変色もおきない。
JIS最高レベル。
湿潤試験 30日A級 オイルを塗布した鉄板を50℃湿度99%で30日放置しても錆が発生しない。
JIS最高レベル。

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パワーグリーンの特長及び用途

パワーグリーン被膜

地球上で最も摩擦係数が低いフッ素樹脂で被膜を形成します。

パワーグリーンは次の特徴を持ちます。

高級エステル油をベースとし、生分解性を持ちます。(環境対応品なので、ISO14001取得に有利です。)
ダイオキシンの発生原因となる塩素系添加剤は、一切使用していません。フッ素樹脂(超微粒子PTFE)を配合し、かつ独自のフッ素樹脂密着技術により、長寿命を実現しました。PTFEの特性を最大限に活かして、「浸透」「防錆」「潤滑」「洗浄」「離型」等、多目的に活用できるマルチパーパスオイルです。

工場の生産設備メンテナンスに

  • 生産設備の寿命が延びます。(摩耗防止→精度維持→長寿命)
  • 工場全体の消費電力が減ります。(摩擦抵抗を最小にするため)
  • 設備のメンテナンス回数が減ります。(パワーグリーンだけが達成した長寿命潤滑剤だからです)

貴社商品の信頼性向上に

  • 各種産業機械、電気機器、搬送機器等の潤滑を高次元で確保します。(純正品として使用いただけます。)
  • 市場クレームが減少します。(滑りがよいので、商品寿命が延びます)
  • 故障が少なくサービスマンのメンテナンス回数を減少できます。

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パワーグリーンQ&A

Q1 生分解性とは何?

生分解性とは微生物により、環境に付加を与える有機物を環境に無害な無機物に分解する性質で、具体的には炭素(C)、水素(H)、酸素(O)からなる油(ベースオイル)が水(H2O)と炭酸ガス(CO2)にまで分解される性質をいう。

Q2 ダイオキシンとは何?

ダイオキシンは、極めて高い毒性(種類によってはサリン以上)を持っている。その生成は塩素を含んだ物質を300℃程度の比較的低い温度で燃焼させた時に意図せずに生成するため、ゴミの焼却等で社会問題になっている。潤滑剤においては焼却廃業の際はもちろん、実使用時、微視的な表面温度は200℃〜400℃に達しており、潤滑面で焼付けが生じなくても塩素系物質を含む潤滑剤ではダイオキシンの発生を指摘されている。
パワーグリーンにはダイオキシン生成のために不可欠な塩素を含む物質を一切添加していない。

Q3 現在使用中のオイルの上からの吹き付けはOKか?

ワーグリーンには洗浄能力があるので、そのまま塗布すれば現オイルを洗浄した上で潤滑性を保持する。但しペンキの上からの塗布、水に濡れている状態での塗布は効力がない。

Q4 ユーザーが困っている環境とは?

下記のご使用状況ではパワーグリーンをご利用ください。

  • 磨耗が早くて困っている。
  • よく錆びて困っている。
  • 常時給油しないと動きが悪くて困っている。
  • オイルが垂れて周辺を汚して困っている。

Q5 本潤滑剤の問題点、欠点は無いのか?

パワーグリーンは冷却能力は低いので冷却用オイルとしては使用できない。
また、以下のような環境には向いていない。

  • エンジンの潤滑油…PTFEの分解ガスを発生することがある。
  • 油圧作動油…低粘度でかつイソパラフィン系溶剤の蒸発による減量を伴う。
  • 530℃を超える可能性のある高温部…PTFEの分解の危険がある。
  • 320℃以上の長時間使用…PTFEの軟化が急速に進行する。
  • -60℃以下の低温での使用…ベースオイルの流動性が失われる。

Q6 新商品の計画はあるか?

  • パワーサーモグリス(商品化完了)
    耐高温用グリス・食品機械用グリス(食品衛生法適合
  • パワーグリーン・クリーンタイプ
    クリーンルーム用
    フィッシング業界用…釣り系及びリール用潤滑剤。

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潤滑剤の寿命比較

スプレー式潤滑剤の潤滑寿命を試験機にて比較検討を行った。

試験機と試験方法

試験方法 :0.2ccの潤滑剤を塗布し焼付きが生じるまでの時間を比較。
荷 重 :85kgf(初期面圧は28トン/cm2)
回転数 :480rpm(変動)
実施日 :2000年5月10.11日
試験場所 :大阪府立産業技術総合研究所
試験機 :チムケン式摩耗試験機

テストサンプル

  • 汎用スプレー
  • 鉱物油系(増粘剤入り)
  • 鉱物油系 ・鉱物油系(チェーン専用)
  • 塩素系 ・二硫化モリブデン系
  • PTFE系1
  • PTFE系2
  • パワーグリーン

チャートの説明

実験結果

テストピースの摩耗痕


初期

パワーグリーン

汎用スプレー

鉱物油系
(増粘剤入り)

鉱物油系

鉱物油系
(チェーン専用)

塩素系

二硫化モリブデン

PTFE系1

PTFE系2

本実験の結果

本試験において

  1. パワーグリーンの耐久性は抜群である。
    (従来品最高のPTFE系2の2倍以上)
  2. 汎用スプレー、鉱物油系は正常潤滑領域に至らなかった。
    (本実験の負荷に対応できない)