POWER GREEN お客様レポート

潤滑剤(パワーグリーン)のもたらす今後の効果
大手医療機器メーカー 技術部メカニック担当者

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はじめに

パワーグリーンに出会い、使用テストを重ねた結果、数々の長所があることが立証されました。
今日まで多品種のスプレー潤滑剤(A(汎用潤滑剤)・B(汎用潤滑剤)・C(二硫化モリブデン系)・D(テフロン系))を用意し、潤滑オイル(チェーン用)は粘度32番、オープンギア用にグリース2種類、他に二硫化モリブデン系グリースの性能アップに用いる補助剤を用意し、機器それぞれの機械的摺動面に用いてきました。多種類の潤滑剤を用いる為、機械講習の際に詳しく講義しているつもりですが、サービスマン個々への指示が徹底できず今日まできました。

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グリースに関して

黒色グリースは作業服を汚し(術者の白衣も黒色に汚すし)洗濯しても落ちない為、作業服の汚れ部分が広がると破れなどの問題が無くても年間何枚も廃棄処分してきました。私自身は作業服の色を変える方向でも運動をしました。しかし、掲題のグリース潤滑剤は乳白色で極圧添加剤に酸化剤などが含まれない為、グリース塗布後金属面を酸化させないので、グリースの色の変化が極端に変わらず黒っぽくならず、また、メンテナンス期間も通常のグリースの倍程度の効果は期待できるという2点のメリットがあります。

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スプレーに関して

パワーグリーンスプレー潤滑剤は高級エステル油(航空機用タービンなどに使用)にフッ素樹脂(テフロン)1ミクロン以下の微粒子が混入され、機械的に隙間に科学的に侵入し、テフロンの被膜を形成するように製造されておりますので、使用する際は容器を良く振ってテフロン超微粒子が合成したOILに均一に分散するようにしてから使ってください。

異常音を発するチェーンには今日までE(汎用オイル)を推奨して効果が有りましたが、反面OIL垂れでベルトの空回りが心配として残りました。

パワーグリーンスプレーをチェーンに用いる場合、プレートとローラの隙間にスプレーすることは同じですが、ピンとブッシュの隙間に浸透する際は、粘度10 番程度で科学的変化後(テフロン被膜形成後)は、粘度120番程度に移行する為、今までの鉱物OIL32番より油膜の厚みが格段に上がり、当然潤滑効果は長く持続しますし、垂れ落ちの心配が無いので、寝台を起こしてスプレーしやすい体勢で作業出来ます。但し、ベルトに噴霧液が付着しないように、ウェースなどで養生して下さい。また、長期間の潤滑で油性分が乾燥し、テフロン被膜が機械的せん断を受けて剥がれ落ちてもテフロン自身の硬度は低く機械的悪さをしません。また、ゴム製品やナイロン樹脂歯車などに対しても優しく(ケミカルアタックの心配が少ない)安心してスプレー出来ます。

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モリブデン微粒子に関して

テキスト(元ページにテキスト無し)

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モリブデン微粒子とパワーグリーン

モリブデン微粒子入り潤滑剤は以上の様なメカニズムなので、諸々の条件を考慮すると高性能潤滑剤パワーグリーンに変更することで、そんな技術的心配が解消され、塗布後の潤滑効果持続期間の延長も期待できる。

グリースタイプも発売されたので、本社工場指定の2種類のグリースとメバトロン回転架台部分に使用している耐荷重用グリースの性能試験を行ったところ、パワーグリーンLグリースが性能的に上回り、Fグリースが倍程度の性能という試験結果が出た。

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パワーグリーンLグリースに関して

パワーグリーンLグリース(灰白色)は高級リチューム石鹸基に、油性分をスプレー潤滑剤と同じエステル油(合成OIL)を用いて製造されているので、上記の本社工場指定グリース類の油性分(鉱物油)だけを比較しても潤滑性能で優れていることは理解出来るでしょう(ケミカルアタックの心配なし)。

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パワーグリーンFグリースに関して

パワーグリーンFグリース(乳白色)は石鹸基に、フッソ(テフロン30〜40%添加)を用いているので、これだけで滑りの効果は十分理解できるし、油性分にエステル油(合成油)が使われており、倍の潤滑性能も理解できる。きめの細かいグリースですから、あらゆる精密部分に使え潤滑性能に優れていますが、価格が高いのでフィールドテストでは使いましたが普及品としてはスペックオーバーです。

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パワーグリーンTBグリースに関して

パワーグリーンTBグリース(乳白色)はFグリースと性状は殆ど同一ですが、価格を低く抑えて販売されているので、二硫化モリブデン系グリースの代替え品としてオープン部分に用いれば、黒い汚れとさよなら出来ます。

油膜の厚みが1000番(TV寝台起倒減速器OILの3倍粘度)なので、高荷重部分のギアやオープン部分に適し、石鹸基にフッソ樹脂(テフロン)を用い、ベースOILは航空機エンジンに用いる高級エステル油(合成油)ですから、油膜の厚い分、高荷重部位でFグリース以上の潤滑性能が期待出来ます。

寝台昇降用スクリューシャフトの摩耗度を調査後TBグリースに変更し、現在フィールドテストを継続中です。シャフトの熱調査では倍回数の繰り返しが出来ました。但し、F・Lグリースはケミカルアタックしませんが、TBグリースは本社工場指定のグリース2種と同様に、樹脂等に対してケミカルアタックの心配があります。

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フィールドテスト

フィールドテスト中なので結論は先送りしますが、歯車やラックギアなどのオープン部分には乳白色のTBグリースが高性能の割りには価格も低めなので使いやすく、ベアリング等の封入グリースにはLグリースが油膜の厚みの関係で全てに対応できるし、樹脂製品にもケミカルアタックの心配無しで用いることができるので、この2種類は併用していく予定です。

性能だけを考えればLグリースよりFグリースですが、高価格なのでコストを考えると前述のTBグリースとLグリースでの普及を考えています。

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メリット

今後潤滑剤であれこれ悩むことなく、会社においては在庫を多品種抱える無駄を無くす事につながり、又作業差の汚れが少なくなり、作業着1着の貸与期間の延長にもつながる。

潤滑剤単品の価格は4割程度もアップしますが、多少高くともトータルコストは確実に下がりますからコストダウンするはずです。

グリース潤滑剤の実機性能テストも現在継続中なので、スプレー潤滑剤とともに使い分けをしたいと考えています。

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グリースに関して

スプレー式潤滑剤の性能が桁外れに良く、万能的ではあるが、ベアリングや歯車などある程度大きな隙間のある部分やオープン部分には昔からグリースを用いることが多く、素人がみた場合グリースが塗布されていると安心感を与える場合も多く、そのような理由からグリースを外す訳にはいきません。

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パワーグリーン潤滑剤の性能テスト

本社工場に(株)バルビス安西社長とパワーグリーン潤滑剤の性能テストを行う為、チムケン式摩耗試験器を持ち込み、デモを行いました。

元設計課長・治療循環器担当・核CT担当の目の前でA汎用商品やB社商品等とパワーグリーンの潤滑性能を比較し、圧倒的にパワーグリーンの潤滑維持力が立証出来ました。

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見解

私としては(メカニック担当)ある意味不満で、作業着は油で塗れていることが技術屋としての誇りであり、各種の潤滑剤に精通し、機器それぞれの部分に様々な潤滑剤を用いることで、メカニック担当として価値を見いだしてきましたし、能書きも言ってきましたが、時代は汚い作業着を認めないし、パワーグリーンを導入することで、結論はさておき、誰にでも簡単に潤滑効果が導き出せれば、サービス技術の混乱が解消され、得意先の信頼も得られます。

いまだに有名汎用潤滑スプレーを使う技術者を見かけるが、高荷重の医用機器には潤滑効果は全く期待出来ないばかりか、グリースなどに噴霧すると、溶剤がグリース性分を溶かし、流してしまいますから摩耗を早める結果にもなります。

プロの技術者なら、グリースが塗布されている部分には、同一石鹸基のグリースを塗布するのが基本で、分解が時間的に困難なら、同一石鹸基のスプレーグリースを吹き付けて解消するのが最低限の常識的対処法です。

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バルビスに関して

(株)バルビスには、上記製品の他にパワーグリーンスプレー潤滑剤の原液も販売されており、霧状に噴霧する必要が無いので、粘度が高く分解困難な部位への潤滑に用いると好結果が期待出来ます。

使用方法は、病院でディスポをもらいパワーグリーンスペシャル(名称)を詰めて、潤滑部位に注入することでパワーグリーンと同様にテフロンの潤滑皮膜を形成し、エステル油の原液油膜で保護されます。価格が高めなのが難ですが、一本あるとここぞ!の場面で役立ちます。

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最後に

医用装置も機械ですから潤滑油・グリースは欠かせません。一年に一度は機構点検を行い潤滑油の補給をして下さい。 車は車検制度があり、点検・OIL交換など当たり前のように行われておりますが、医用機器にはそのような制度が無い為、メンテナンス契約されていない施設の装置は何年も無給油で使い続けられています。

ソフト(電気)の故障は動かなくなるだけですが、ハード(機械)の故障は即患者さんへのけがに繋がるおそれがあります。 グリースは一年程度で変質してしまいますので、出来れば一年に一度くらい注油やグリースアップを行う定期点検を行い、機械的駆動部分の摩耗を抑えて下さい。